『常勝経営』-経営を成功に道びく秘訣-

「国は一人を以(もっ)て興き、一人を以(もっ)て亡ぶ」といわれる。

 

(原文) 一国一人興、以一人亡。  蘇老泉「管仲論」より

 

これは、国を興すも亡ぼすも、結局一人の君主の才覚しだいということである。

 

競争社会にあって、企業も同じで、基本「一人で興し、一人でつぶす」もの。
これは、経営者の器・能力の問題です。
企業がつぶれるのは他人や環境のせいではありません。

 

どんな環境であっても生き残る企業があれば、潰れる企業もある。
再度、立ち上がる企業もある。

 

また、企業の発展を止めているのも、基本、経営トップの考え方や能力にある。
すなわち、経営トップの能力の限界がその会社の限界であるということだ。

 

好景気があって、踊り場があって、不景気がある――これは必ず繰り返す。
不景気になれば、人の「選択の目」は厳しくなる。
ゆえに、世の中の役に立っているもののみが勝ち残る。
これは「淘汰の原理」が働いているということ。
よりよい商品、よりよいサービスを提供していることろが勝ち残っていく。
「淘汰の原理」を別の言い方をすると「発展の原理」でもある。
これに対し、経営者は何を為すべきか。

 

また、経営環境に合わせて経営方法を変えていかなければならない。
好景気の時期は権限委譲、不景気の時期は大政奉還など。
しかし、経営環境を見極めるのは難しい。

 

企業の成長速度、規模に応じた経営戦略も必要となる。

  • 会社の急成長に資金繰りが間に合わず倒産(黒字倒産)
  • 会社の成長レベルに人材育成が追いついていないことでの経営危機
  • 会社の規模が小さいときに許されていた(見逃されていた)ことが、

    規模が大きくなったら許されなくなった(見逃されなくなった)

いずれも認識不足、理解不足、知識不足など経営トップの問題ですね。

 

起業したばかりの経営をはじめ、小中企業から大企業に至るまで、
経営はひとえにトップあるいはトップ経営陣の能力にかっている。

 

会社を成長させたければ経営トップの能力を伸ばすしかありません。
「脱皮できない蛇は死ぬ」と言われますが同じですね。

 

ドラッカー理論である
「企業の成長要因は外部にあるが、企業の衰退要因は内部にある」
とはどういうことか。

 

また、イギリスの有名な格言に、次の言葉がある。
“愚か者は『卵を一つの籠に盛るな』と言う。
賢者は『卵を一つの籠に盛り、注意深く見守れ』と言う。”

 

「卵は一つの籠に盛るな」とは、投資に関する格言として有名ですね。

 

しかし、アメリカの大富豪であるアンドリュー・カーネギーは「卵を一つの籠に盛り、注意深く見守れ」という。ドラッカーもジョン・ロックフェラーも別の言葉であるが同じことを言っている。

 

成功したらしたで、その陰で憎まれたり、ひがまれたり、嫉妬を買ったりします。そして、ちょっとした躓きや不振などでそれが噴出したりする。
これをシャドウ(成功の陰)という。

 

このように、経営には奥深いものがあります。
日々の学びと凡事徹底しかありませんね。

 

自ら学び、自ら変われ!

『常勝経営』-経営を成功に道びく秘訣-記事一覧

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