企業を成長・発展に導く『常勝経営』とは

人生は勝負の連続である。自分との勝負、他人との勝負。切磋琢磨することにより、人は成長していく。このように勝負は「発展の原理」でもある。
『論語と算盤』で有名な渋沢栄一氏も「成長を求めるならば競争を否定してはいけない」と言っている。
鉄鋼王のアンドリュー・カーネギー氏も、「社会の進歩と改善という、人々が享有している果実もまた、競争という代価を支払うことによって得られるものだ。競争があるということは、社会のあらゆる面で適者が生存し、不敵者が姿を消していくということである」と述べている。また、「社会に貧富の差があるということは、社会が進歩する必要条件だといってもよい」とまで言い切っている。

 

ただ、企業経営は厳しい。
「必要なものは残り、必要のないものは消滅していく」(淘汰の原理)というのが市場の鉄則である。

 

松下幸之助は、「企業経営は真剣勝負である。ゆえに、百戦百勝を狙わなくてはならない」と言っている。

 

「百戦百勝」を実現するには、「攻めるときには攻め、退くときには退き、迂回するときには迂回し、動かないときには動かない」ということが大事である。まさに、武田軍団の「風林火山」であり、これらを全て状況に応じて、自由自在に実行できなければ「百戦百勝」などありえない。

 

「常勝」という考え方(「常勝思考」ともいう)は、勝負において常に勝ち続ける、最悪でも負けない考え方というのは、成功からも失敗からも教訓を得て大きな成功を勝ちとっていく「全天候型」の運命開拓法のことです。

 

この考え方は、個人に対して使われることが多いと思いますが、この「常勝」という考え方を組織や経営に活かし、「勝つべくして勝つ経営」、最悪でも「つぶれない経営」を目指すのが「常勝経営」ということです。

 

孫子

「勝つべくして勝つ」といえば「孫子」の兵法ですね。

「孫子」は、現代経営においても競争社会で生き残る智慧として色褪せず、名経営者に影響を与え続けている兵法書だと思います。
例えば、ソフトバンク創業者の孫正義氏、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、オラクル創業者のラリー・エリクソン氏など錚々たるメンバーが「孫子」を愛読または座右の書とされているようです。
(他、多くの経営者・著名人がいらっしゃいます)

 

変化の激しい時代、競争社会において、
「勝つ(成功・発展する)経営」とは?
「負けない(失敗しない)経営」とは?
そして、最悪の状況において「つぶれない経営」とは?

 

経営トップの方々は、日夜これを考え続けているはずです。
それでも生き残れない企業は多い。

 

これまでは、起業して3年後、10社に1社残っているかどうか、10年後には100社に1社残っているかどうか分からないといわれていました。
しかしこれからは、起業して30年後に5,000社のうち1社生き残っているかどうかといわれる時代です。
伝統ある企業もつぶれるところが出てくる。
生存率は、なんと0.02%です。
厳しい!実に厳しい時代です!!

 

一つの要因に、AI化があるといわれています。
AI化が進むにつれ、あらゆる分野にAIが浸透していき、変化の速度が急激に早くなることが予想されます。変化の速度が早くなればなるほど、ますます時間の価値が上がってきます。これが今後のトレンドとなります。

 

生き残れるか否かはひとえに経営トップの能力、考え方、心構えにかかっています。
経営に携わる者にとって、成功を目指さない経営者はいないはずです。
必ず、全員が成功・発展を目指して企業経営に携わっているはずです。

 

経営における「成功の法則」は、存在します。
たとえ一時期、経営に失敗したとしても、それに耐え、その失敗を教訓として学び、次の成功につなげていくことは可能です。「転んでもただでは起きない」わらしべ長者のごとくチャレンジしたいものです。

経営コンサルタント 一倉定氏とドラッカー氏

競争社会を勝ち抜き、会社のさらなる成長・発展を目指して、経営者の誰もが経営指導者(メンター)を求めていることと思います。

 

経営に関して著名なコンサルタントはたくさんいらっしゃいますが、
代表的には、既に亡くなられてしまいましたが、

 

 一倉定
 ピーター・F・ドラッカー

 

のお二人だと思います。

 

一倉定

一倉定

<一倉定>

中小企業や経営危機にある会社の経営に適している
基本的に、「トップ一人がいかに自分が働くか」
 ⇒「社長学」「社長の帝王学」が中心
代表的著書:「一倉定の社長学」シリーズ
      「経営の思いがけないコツ」

 

5,000社以上もの経営コンサルタントをしたといわれている一倉定。その経営理論は、中小企業や赤字に陥った企業、つぶれそうになった企業に向いている。

 

多くの会社は自社の都合だけしか考えない“天動説”そのもので、社長は社長で、経営とは“内部管理”のことだと勘違いし、社長室に閉じこもっている(穴熊社長)。

 

これに対して、一倉氏の持論は「事業とは“市場活動”であり、それは、お客様の要求を満たす活動である」といい、「社長の真の定位置は社長室ではなく“お客様のところである”」というものです。

 

また一倉氏は、孫子の兵法を企業経営にあてはめて、
経営戦略とは、「戦わずして勝つ」あるいは「戦わずして優位に立つ」ための事業構造の変革であり、それによって自然に高収益を生むことができるような体勢を実現することである、と言っている。

 

もう一つ特徴的なのは、「環境整備」です。
単なるTQCの一環での環境整備ではなく、一倉式の「環境整備」は、精神革命であり、あらゆる活動の“原点”と位置付けている。これは、“企業は人なり”と言われるが、一倉定はお釈迦様の「塵を払わん、垢を除かん」という言葉からヒントを得、最も大切な人間形成を行うには掃除をおいてないと深く理解していたからだと思われる。

 

ドラッカー

ドラッカー

<ドラッカー>

中~大企業など全般的な企業経営に適している
基本的に、「いかに人を使って成果をあげるか」
 ⇒「経営トップ層」「組織論」が中心
代表的著書:「現代の経営」(上・下)
      「マネジメント」(上・中・下)

 

ドラッカーの経営理論を学び信奉している、いわゆる“ドラッカリアン”は世界各国に多数いる。そして、ドラッカーの経営理論に基づいて実践し、大企業にまで成長させた人は数多く出ている。

 

これから見ても、ドラッカーの経営理論は中企業から大企業向けであるといえる。

 

ドラッカーの特徴は、天才でなくとも組織運営ができる仕組みづくり。
ドラッカーは天才指導者を平凡なパーツに分解し、それを体系化した。
そして、出来上がったものが経営学(マネジメント)の体系です。

 

ドラッカーが言いたいことは、平凡な人、ちょっと上の秀才の人、この人たちを組み合わせることによって、天才がいるのと同じ成果を出せる。非凡な成果を出せる。
従って、平凡を組み合わせてシナジー効果を如何に出すか、これがドラッカー経営学の胆だということだ。

 

ドラッカーの経営論を端的に表現するならば、「個々人の強みを活かして組織としての体制をつくり、且つ、教育・訓練のシステムをつくれ」ということになります。これは、一言でいうと、競争社会において「勝つべくして勝つ組織づくり」ということになります。まさに現代版「孫子の兵法」です。

 

孫子の兵法は、「天才だけが持つひらめきや能力でできた戦い方」をテキスト化したものと見ることができる。だから、孫子を読んだ人と、読んでない人とでは、結果が全然違ってくる。同じように、ドラッカーの経営論を学んでいる人と、学んでいない人でとは、結果が大きく違ってくる。

 

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いづれも、経営トップやトップ経営層の姿勢や能力に関するものが多い。

 

これからは、経営環境の変化はますます激しいものとなり、企業規模が小さいときからドラッカー経営を学び、ドラッカー経営に移行しなければ生き残れない時代になってきている。

 

本経営コーナーでは、両氏に加え、日本の代表として松下幸之助、稲盛和夫及びかつてのアメリカの三大富豪であるアンドリュー・カーネギー、ジョン・ロックフェラー、ヘンリー・フォードの経営に関する智慧や、アンドリュー・カーネギーの依頼により経営における「成功哲学」を体系化したナポレオン・ヒルの智慧などを中心に紹介していきたいと思います。